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院長のきまぐれブログ


28 Oct 2024
色々なワクチン
 
 昨今は新型コロナウイルス感染症をはじめ、ワクチンの開発がめざましい。新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、肺炎球菌、帯状疱疹ウイルス、RSウイルスなど、一般内科でも何を選び接種するか、悩まれる方も多い。補助金の恩恵を受けてもなかなかの高額であることから、経済的にも負担がある。
 
 当院では今年のインフルエンザワクチン接種の希望者はやや少ない印象を受ける。新型コロナウイルスワクチン接種は定期接種から任意接種へ変わり、役所から接種を促す手紙も届かなくなった。卸担当者からの話では当面ワクチン不足はなさそうで、希望される方には接種機会を提供できることは安堵している。
 
 これから、どのくらいの患者さんが接種を希望されるのか、またその接種効果など動向を見守っていきたい。



16 Nov 2024
健康診断での腎機能に関するお問い合わせ
 
 最近、お電話でのお問い合わせを頂くことがある。健康診断でクレアチニンの値が高くなり一度診察を受けたいというご相談である。
 
 結果用紙の腎臓欄には、クレアチニン(Cr)と糸球体濾過量(Egfr)の数字が書かれている。前者は小数点下2桁の数値、後者は単位がmL/min/1.73m2と書かれており、患者さんにとって意味不明な数値である。正確性はさておき、クレアチニンは筋肉から出てくる老廃物であるため、腎機能が悪くなると血液中にゴミが残りその数値は高くなる(ただし1.00→1.10となったとてその意義は伝わらない)。それに対して、eGFRは腎機能を100%としたとき現在残っている腎機能を指す。60→50であれば10%機能が悪化したことを意味する。

 ひと昔前はクレアチニンの値だけしか表記がなく、患者さんはもちろんのこと、医師であっても専門でなければ変化の重要性を把握するのは困難であった時代もあった。腎臓の数値は肝臓やコレステロールや血糖などと違い、悪くなると戻らないこともある。実際には変動もあるため一概には言えないが、放置するのはよくない結果を招くこともあるので、疑問や不安を感じれば受診をお勧めしたい。
 
 健康診断は異常が出て初めて自分事として認識されることが多く、そのような時は正しい情報収集は難しく、軽視したり逆に大きな不安に陥ることもある。患者さんの基礎疾患やこれまでの検査結果の推移によって判断は異なり、「以前の検査データ」が手元にあればグラフを描いて将来の腎機能予測も説明できるので持参されることを是非お勧めしたい。


17 Nov 2024
(糖尿病)食事療法の重要性

 先代院長は糖尿病専門医であり、当院では綿密な食事指導を行ってきた。初診では、一週間分の主食量、ある一日分の食事の記録をつけてもらい、その分析結果を患者さんへフィードバックする。そして、目標となるカロリー摂取量と体重を定めて投薬治療を開始、食品交換表を利用して糖尿病を管理する。私自身も腎臓内科医として糖尿病を診ているものの、食事指導は栄養士にお任せしてきた経緯もあり、問題点に関して肌感覚が劣る面があった。

 現代は外食や保存食など上手く活用することが日常生活を豊かにする一つの手段になっている。一方で、生活習慣病が引き起こす糖尿病や腎臓病が増えていることも事実である。食事管理は個々人の積み重ねた嗜好も影響するため、その変革は容易でないが、やはり血糖管理の基本は食事であり、投薬だけでは限界がある。

 食事というのは面白いもので、同じものを出されたときに個々人の感じる印象は大きく異なる。え、これだけ!こんなにも沢山?・・・など、これは裏を返せば、対面での食事内容の聞き取りだけでは状況を正しく把握できないということになる。そこで、面倒ではあるけれど食事記録として客観的な判断が必要となる。ご自身の出納帳を作ったとき、予想外の出費に気付きハッとした感覚をお持ちではないだろうか。

 糖尿病の患者さんにはそれぞれの事情がある。血糖悪化要因のいくつか問題がある中、全てを修正することは難しい。徹底的な食事制限で改善を目指すのではなく、上手く治療薬を活用することが重要となる。そこで鍵になるのが、摂取カロリー半分を占め、さらに把握しやすい主食(米、パン、麺に加えて芋類)の管理となる。合併症としての腎臓病、網膜症、神経症を進行させない程度に管理しつつ、日常生活の質も確保しながら無理なく治療が継続できるよう当院としてサポートさせて頂きたい。